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脂質は摂取する量が多すぎても少なすぎても健康によくないと言われています。脂質は身体のなかでエネルギーに変換されるため、元気に動き回るのに必要な栄養素です。とはいえ、とりすぎると肥満などの健康リスクもあります。
農林水産省も「食事から摂取する脂質は多すぎても少なすぎてもよくない」と発表しています。
食事から摂取する脂質は、多すぎても少なすぎても健康に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、一部の種類の脂質については、食生活における摂取量の基準が設定されています。
「身体に悪そうだからとらない」のではなく、適切な量を目安に摂取すれば問題ありません。それではさっそく、脂質について厚生労働省が推奨する摂取量などを見ていきましょう。
脂質とは?働きと不足したときの症状
脂質とは、私たちの「エネルギー源」になる栄養素のひとつです。脂質を摂取すると体内でエネルギーに変換され、そのエネルギーを消費して私たちは身体を動かしているんですね。同じくエネルギー源である「たんぱく質」「炭水化物」とあわせて「三大栄養素」と呼ばれます。
脂質は「常温で固まるもの(飽和脂肪酸)」「常温で固まらないもの(不飽和脂肪酸)」があります。
脂質の種類
脂質は細かく分けるといろいろな種類がありますが、大きく2つに分けられます。「飽和脂肪酸(ほうわしぼうさん)」と「不飽和脂肪酸(ふほうわしぼうさん)」です。
飽和脂肪酸(ほうわしぼうさん)
飽和脂肪酸は「固形」で「脂(あぶら)」です。溶ける温度が高いため、常温でも固まったままです。乳製品や肉など、動物性脂肪に多くふくまれているのが特徴です(ココナッツなど例外もあり)。バターやマーガリン、ラード、ベーコン、ドーナツなどのお菓子にも入っています。
たしかに、バターとかレンチンしないと溶けないよね。
日本人は飽和脂肪酸をとりすぎてしまう傾向があるので、1日の摂取量を大幅に超えないように気をつけたいですね。
不飽和脂肪酸(ふほうわしぼうさん)
不飽和脂肪酸は「液状」で「油(あぶら)」です。溶ける温度が低いため、常温はもちろん冷蔵庫に入れても液体のままです(固まらない)。サラダ油やオリーブオイルなど魚油や植物油に多くふくまれているのが特徴です。
サラダ油とかは冷蔵庫に入れてもサラサラのままだね。
オリーブオイルや魚などはLDLコレステロールを低下させるといわれている(厚生労働省「特定保健指導の実践定期指導実施者育成プログラム」より)ので、脂質をとるなら不飽和脂肪酸を多めにとるようにすると良いですね。
脂質の働き
脂質は身体に悪そうなイメージがあるので悪者にされがちですが、下記のような大事な働きがあります。
- 細胞をつつむ「細胞膜(さいぼうまく)」という役割をしてる。
- 身体を動かすのに必要なエネルギー源である。
- 脂溶性ビタミン(A・D・E・K)の吸収を助ける。
- カロテノイドの吸収を助ける。
※「日本人の食事摂取基準(2020年版)」より。
脂溶性ビタミンとは「油に溶けやすいビタミン」のこと。つまり、脂溶性ビタミンである「ビタミンA」「ビタミンD」「ビタミンE」「ビタミンK」といっしょに脂質をとれば、ビタミンの吸収率がアップするので効率よく栄養を摂取できるということですね。
「カロテノイド」は天然の色素のことです。人工的に色をつけたのではなく、自然に存在する色です。「黄」「橙(だいだい)」「赤」などがあり、たとえば「にんじん」「トマト」「パプリカ」などですね。カロテノイドをふくむ食品と脂質をいっしょにとれば、効率よく栄養を吸収できます。
脂質が不足したらどうなる?
現代の日本人は脂質が不足している・・・ということはないですが、脂質が不足すると皮膚炎になることもあります(「日本人の食事摂取基準(2020年版)」より)。また、脂質はエネルギーの元となるので、足りないと力が入らなかったり、エネルギー不足で元気に活動できなくなります。
脂質をとりすぎるとどうなる?
脂質にはいろいろな種類がありますが、気をつけたいのは「飽和脂肪酸(ほうわしぼうさん)」です。「飽和脂肪酸(ほうわしぼうさん)」をとりすぎると「脂質異常症」「高LDLコレステロール血症」などのリスクが高まる可能性があります(農林水産省HP「脂質による健康影響」/「日本人の食事摂取基準(2020年版)」より)。
血液中の脂肪分が多すぎたり少なすぎたりすることです。脂肪分が多すぎると動脈硬化の原因になることもあります。
動脈硬化とは、血管がかたくなって血液の流れがわるくなる状態です。脳梗塞など深刻な健康被害を引き起こします。
脂質の1日の摂取量が設定されている理由は「飽和脂肪酸のとりすぎから起こる生活習慣病を防ぐため」です。脂質はエネルギーとして必要ですが、必要以上にとりすぎないように注意しましょう。
1日に必要な脂質摂取量は総エネルギーの20~30%
1日に必要な脂質摂取量は「1日に必要な摂取エネルギー(カロリー)量の20~30%」です(「日本人の食事摂取基準(2020年版)」より)。
私たちは身体のなかででつくられたエネルギーを消費して活動しています。「エネルギーの元」となるのは「炭水化物」「たんぱく質」「脂質」の3つの栄養素です。
「炭水化物:50~65%」「たんぱく質:13~20%」「脂質:20~30%」の割合で摂取するのが理想的といわれています(下記図のように)。
※「日本人の食事摂取基準(2020年版)」を参考に作成。
総エネルギーの20~30%の脂質とは?
「エネルギー」というと分かりにくいですが、エネルギー=カロリーだと思ってOKです(正確にいえば「エネルギー」ですが「カロリー」という言い方が世間では知られているので)。
たとえば「1日に必要な摂取カロリーが2,000kcal」の場合で見てみると・・・「2,000kcal」の「20~30%」は「400~600kcal」です。つまり「2,000kcal」のうち「400~600kcalぶん」は脂質で摂取しよう、ということですね(大まかな目安です)。
脂質は「1g=9kcal」です。そのため、1日に必要な摂取カロリーが「2,000kcal」の場合、1日に必要な脂質摂取量は「44~66g」となるわけですね。
1日に必要な脂質摂取量
女性と男性(20~50代)、それぞれ1日に必要な脂質摂取量の一覧です。1日に必要な脂質摂取量は「1日に必要な摂取エネルギー(カロリー)量の20~30%」をふまえて単純計算しました。
1日に必要な脂質摂取量(g/日)【女性】
身体活動レベル | 低い | ふつう | 高い |
---|---|---|---|
20代女性 | 38~57g | 44~67g | 51~77g |
30代女性 | 39~58g | 46~68g | 52~78g |
40代女性 | 39~58g | 46~68g | 52~78g |
50代女性 | 37~55g | 43~65g | 50~75g |
※「日本人の食事摂取基準(2020年版)」を参考に作成。目安の数値です。
1日に必要な脂質摂取量(g/日)【男性】
身体活動レベル | 低い | ふつう | 高い |
---|---|---|---|
20代男性 | 51~77g | 59~88g | 68~101g |
30代男性 | 51~77g | 60~90g | 68~101g |
40代男性 | 51~77g | 60~90g | 68~101g |
50代男性 | 49~73g | 58~87g | 66~98g |
※「日本人の食事摂取基準(2020年版)」を参考に作成。目安の数値です。
ちなみに油4gは小さじ1杯くらいです。料理に少しつかっただけでは1日の脂質摂取量には届きません。
身体活動レベルとは?
1日に必要なカロリー摂取量は「身体活動レベル(どれくらい身体を動かすか)」によって目安に差があります。身体を多く動かすほうがエネルギーが消費されるので、エネルギーの元となる「炭水化物」「たんぱく質」「脂質」もたくさん必要です。
1日に必要なエネルギー(カロリー)摂取量については「1日に必要なカロリー摂取量一覧【女性&男性20代~50代】エネルギーとカロリーの違いも説明」で解説しています。
1日に必要な飽和脂肪酸摂取量
1日に必要な飽和脂肪酸の摂取量は「1日に必要な摂取エネルギー(カロリー)量の7%」です。それをふまえて単純計算しました。
1日に必要な飽和脂肪酸摂取量(g/日)【女性】
身体活動レベル | 低い | ふつう | 高い |
---|---|---|---|
20代女性 | 13g | 16g | 18g |
30代女性 | 14g | 16g | 18g |
40代女性 | 14g | 16g | 18g |
50代女性 | 13g | 15g | 18g |
※「日本人の食事摂取基準(2020年版)」を参考に作成。目安の数値です。
1日に必要な飽和脂肪酸摂取量(g/日)【男性】
身体活動レベル | 低い | ふつう | 高い |
---|---|---|---|
20代男性 | 18g | 21g | 24g |
30代男性 | 18g | 21g | 24g |
40代男性 | 18g | 21g | 24g |
50代男性 | 17g | 20g | 23g |
※「日本人の食事摂取基準(2020年版)」を参考に作成。目安の数値です。
脂質のなかでも「飽和脂肪酸」をとりすぎている方が多いようです。バターをたっぷりつかったお菓子など・・・おいしいので、つい食べちゃいますね・・・(^^;)とはいえ、飽和脂肪酸をまったくとらないのもよくありません。
1日の摂取量を目安にして、肉や魚などバランスよくいろいろな食品を食べましょう。
脂質の多い食べ物とは?
脂質の多い食べ物は「マーガリン」「バター」「チーズ」「肉(脂身)」「魚」「牛乳」「卵」などがあります。もちろん料理に使う「サラダ油」「オリーブオイル」などの「油」もそうです。
料理に使う油は目に見えるので分かりやすいですが、スーパーやコンビニで買う食材にも脂質は入っています。パッケージのウラを見ると「脂質」という項目で数値が記載されているので、チェックしてみましょう。
ほかにも「油」で揚げた「油揚げ」「厚揚げ」「フライ」なども脂質が多いです。バターやマーガリンを使ったお菓子にもとうぜん脂質はふくまれていて、たとえば「ひとくちチョコレート」は「1粒で約1.9gの脂質」です(商品によって誤差あり)。
生の野菜や果物じたいに脂質はほとんどありません。食材の脂質が高い場合は料理に使う油を減らしたり、野菜をいっしょに食べたりしてうまく摂取量内におさめると良いですね。
脂質といっても「飽和脂肪酸」「不飽和脂肪酸」があると説明しました。どの食品がどちらなのか?を知っておくだけでも食べ過ぎに気をつけるきっかけになるので、いくつかご紹介しますね。
飽和脂肪酸の多い食べ物
飽和脂肪酸の多い食べ物をいくつかご紹介します。乳製品やお菓子などが多いですね。
- 脂身の多い肉
- 牛乳
- 卵黄
- ココナッツ
- パーム油
- ソーセージ
- チーズ
- ベーコン
- ロースハム
- バター
- ポテトチップス
- チョコレート
- クッキー
- ビスケット
- ドーナツ
「食べてはいけない」ではなく「食べ過ぎがよくない」というだけなので、摂取量を大きく超えないくらいに摂取しましょう。
不飽和脂肪酸の多い食べ物
不飽和脂肪酸の多い食べ物をいくつかご紹介します。
- オリーブオイル
- アボカド
- タラ肝油
- イワシ油
- 植物油(トウモロコシ油・大豆油・サラダ油など)
- 豆腐
- ごま油
- 味噌
- なたね油
- 油揚げ
- 魚
- 魚の卵
- くるみ
- えごま
まとめ
今回は「脂質」についてご紹介しました。脂質はとりすぎると肥満や高コレステロールなどのリスクが高まります。とはいえ、脂質は重要なエネルギー源でもあるので、適切な量をとるようにしたいですね。