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化粧品やシャンプーなどに書かれている「天然由来」「植物由来」というコトバ。
なんとなく「自然の植物を使っているのかな?」「自然のものを配合しているってことかな?」と思っていましたが、くわしくは知りませんでした。
あと、何となく体によさそうなイメージがあるよね。
あるとき「天然成分」というコトバを目にして「あれ?天然成分と天然由来成分に違いってあるの?」とギモンに感じたんですよね。
家族に何気なく聞くと「言い方が違うだけで同じじゃない?」との回答が。私自身も「天然成分=天然由来=天然そのままのもの」と漠然と思い込んでいたのですが・・・どうやら違う意味があるようです。
そこで、このページでは「天然成分とは?」「天然由来成分とは?」「天然成分と天然由来成分の違いとは?」などについてまとめてみました。
天然成分と天然由来成分の違いとは?
天然成分と天然由来成分の違いは「化学処理をしているか、していないか」です。
天然成分は「化学処理をしていない天然成分」で、天然由来成分は「化学処理をした天然成分」になります。
では、そもそも天然成分とは何なのか?化学処理をしている・していないの違いは何なのか?くわしく見ていきましょう。
天然成分とは?
天然成分とは、もともと自然界に存在している成分のことです。
自然界にもともと存在しているものとは「植物」「動物」「鉱物」「粘土」などです。つまり、植物や動物から抽出した成分そのものが「天然成分」なんですね。
鉱物は「自然にできた結晶」のこと。とくにキレイで価値の高い鉱物が宝石になるよ。
ダイヤやルビーは鉱物をカットして磨いたものってことだね。
くわえて「天然成分」と言えるのは「化学的な処理をしていないこと」が条件です。つまり・・・
天然成分=
自然界に存在するものから抽出した成分で、化学処理をしていないもの。
ということになります。
物理処理で抽出したものは天然成分
植物や動物から成分を抽出する方法には「化学処理」「物理処理」があります。
「物理処理」で抽出した成分は「天然成分」になります。物理処理とは、たとえば下記のような方法です。
- 圧搾(あっさく)
- 粉砕(ふんさい)
- 蒸留(じょうりゅう)
- 遠心分離(えんしんぶんり)
- 水に浸して抽出
どんな方法なのか?カンタンに見ていきましょう。
圧搾(あっさく)
「圧搾」とは圧力をかけてしぼることです。
ブドウや蜜柑をギュ~ッと押してつぶすと果汁が出てきますよね。果物や野菜を押しつぶしてジュースをつくるジューサーなどがありますが、あんな感じです。
蜜柑やレモンなどの柑橘類なんかは、手でつぶすだけでもエキスが飛び出しますね。
自然に存在する果物や野菜から物理的に抽出したものなので、まさに果汁100%!抽出する過程で化学薬剤などを使っていない(化学処理をしていない)ので、天然成分100%です。
じっさい商品をつくる場合は圧搾機(あっさくき)のような専用機械を使うことが多いです。
昔は手でしぼったりしてたんだよね。大変な作業!
植物オイルを抽出するときも、圧搾法を使うことが多いです。
植物の「葉」「茎」「花びら」「根」「種子」「樹皮」「樹脂」「果肉」「皮」などから抽出する液体のこと。植物油ともいう。
たとえば下記などが植物オイルです。とくにオリーブ油(オイル)が有名ですね。
- オリーブ油
- ホホバ油
- 月見草油
- サフラワー油
- ヒマワリ種子油
植物オイルは原料となる植物の名前がつくので、分かりやすいですね。
ホホバ油は「ホホバの種子」から抽出された油です。月見草油は「月見草の種子」から抽出された油です。
「植物エキス」や「植物油」は美肌効果が期待されているものも多いです。そのため、スキンケア用品やマッサージオイルとして使われることがあるんですね。
植物オイルでとくに高品質なのは「低温圧搾法(コールドプレス法)」と呼ばれる圧搾法で抽出したものです。
圧搾は原料となる植物に熱をくわえてから圧をかけますが、低温圧搾は熱をくわえません。そのため、オイルの品質が高いまま抽出できるんですね。
オイルはすごい高熱をくわえると品質が劣化しちゃうんだよね。
物理的に圧搾しただけの植物オイルは天然成分です。
・・・が、そのあと化学処理で「精製」「加工」した場合は「天然成分100%」と言えないのでややこしいところです。
- 精製:不純物・色・ニオイなどを取りのぞく作業
- 加工:香料・保存料・防腐剤などをくわえること
スキンケア用品などに使う場合は安全が第一なので精製・加工されている場合が多いです。そのため「天然成分」ではなく「天然由来成分」と書かれているんですね。
色やニオイをキレイに消すために化学的な薬剤を使うことも多いみたいだね。
ちなみに圧搾後に「フィルターでろ過」しただけの場合は天然成分といっても良さそうです。薬剤などを使った化学処理ではなく、色やニオイも残ります。
このあたりの線引きが微妙なところ。ハッキリと決まっていないみたい。
粉砕
粉砕とは細かく砕いてパウダー状にすることです。
原料を乾燥させて、機械を使って細かくしていきます。化学処理を行なわず、ただ砕いて粉状にするだけなので「天然成分」と言えますね。
「フルーツパウダー」「野菜パウダー」ほかにも「シナモンパウダー」「ウコンパウダー」「トウガラシパウダー」などありますが「竹パウダー」「オオバコパウダー」なんていうのもあります。
自分で野菜や果物を乾燥⇒粉砕したものは「天然成分100%」ですね。
自家製のスパイスやパウダーは「家庭用食品乾燥機」「家庭用粉砕器」があればカンタンに作れます。粉末にしたいものを乾燥させて粉砕すれば完成です。
▲黄金色が鮮やかなウコンパウダー
果物や野菜を粉砕すると、着色料も使っていないのに鮮やかな色が出てとてもキレイです。カボチャは黄緑色、イチゴは赤色、ニンニクは白色のキレイなパウダーができあがりますよ。
粉にすると使いやすくて便利だよ。
飲み物やヨーグルトに入れても美味しい♪
お菓子づくりにも使えるんだよね。
クッキーやパウンドケーキの色つけにピッタリ!
水蒸気蒸留法
水蒸気蒸留法とは、水蒸気が冷えると液体になる原理を利用した方法です。
ハーブなど、植物オイルを抽出するときによく使われる手法です。
大まかな流れとしては、まず原料(植物)を水蒸気で熱して(蒸して)、抽出したいオイル成分を気体にします。そしてオイル成分が混ざった水蒸気を冷やすと液体にもどるという仕組みです。
このときオイルと水に分離するのですが、オイルは「精油(エッセンシャルオイル)」、水は「芳香蒸留水(フローラルウォーター)」と呼ばれます。
水には香りや精油がちょっと残ってるから、
フローラルウォーターって呼ばれるんだね。
遠心分離
遠心分離とは遠心力を利用して成分同士を分離することです。
遠心分離が利用される代表的なものは「ハチミツ」です。
はちみつは遠心分離機を使って「ハチの巣」と「ハチミツ」を分離させます。巣にたまったハチミツを遠心力ではじきとばすんですね。
ハチミツはハチが自然の草花からとってきた蜜なので天然成分です。薬剤などを使わずに遠心分離機で巣とハチミツを分離させるだけなら、化学処理を行なっていないので天然成分のままというワケですね。
瓶につめる前に巣のカスなどを取りのぞくためフィルターで「ろ過」することも多いです。ろ過だけなら天然成分と呼べそうですね。
水に浸して抽出
水に原料を浸してエキスなどを抽出する方法です。
浸すことで、水のなかに成分がにじみ出るんですね。「ハーブティ」「お茶」などをイメージすると分かりやすいと思います。
ほかにも例をあげると・・・たとえばレモンを切って水に入れると、爽やか&スッキリなレモン水ができます。水にレモンを入れただけなので、水に流れ出たレモンエキスは天然成分ということになりますね。
植物の葉や種子から抽出されるエキスは色々あり、たとえば下記などです。
- アロエベラ葉エキス
- オリーブ葉エキス
- オレンジエキス
- ヨモギエキス
- ラベンダーエキス
植物エキスも色々な効能があるので、よくスキンケア用品やシャンプーに配合されていますね。
たとえば「アロエベラ葉エキス」。アロエベラには「保湿効果」「ニキビ改善効果」などが期待できるので、化粧品に配合されていることもよくあります。
ラベンダーにはリラックス効果にくわえて抗菌作用・抗酸化作用などもあるので、スキンケア用品にかぎらずよく見かけますね。
アロエは昔から重宝されてきた植物です。アロエヨーグルトなど、今は食用も多いですね。
▲切っただけでもみずみずしいアロエベラ
さて、ここまで「天然成分」についてご紹介してきました。つぎは「天然由来成分とは何か?」を見ていきましょう。
天然由来成分とは?
天然由来成分とは、天然成分に何らかの化学処理をくわえたものです。たとえば下記のようなパターンがあります。
- 化学処理で抽出した天然成分
- 化学処理で精製した天然成分
- 加工した天然成分
- 天然成分を原料にしてつくった合成成分
それぞれ、くわしく見ていきましょう。
1.化学処理で抽出した天然成分
自然に存在する動植物などから物理処理で抽出したものは「天然成分」ですが、化学処理で抽出したものは「天然由来成分」となります。
化学処理とは、多くは何らかの「化学溶剤」「化学薬品」などを使った場合です。
例:溶剤抽出法
植物オイルを例にあげると「溶剤抽出法」は化学処理にあたります。
溶剤抽出法とは、特殊な溶剤(ノルマルヘキサンなど)を使って原料からオイルを抽出する方法です。オイルが少ない植物でも、溶剤抽出法を使うとたくさん抽出できます。
効率よく安定して多くの植物オイルがとれるので、よく使われる手法でもあります。
残った溶剤はちゃんと取りのぞかれるよ。
2.化学処理で精製した天然成分
天然成分を化学処理で「精製」した場合は「天然由来成分」になります。
精製とは「余計なもの(不純物)を取りのぞいて純度の高い成分にすること」です。天然成分は自然なものですが、じっさいに使おうとすると不要な成分・不純物も多いです。
- ニオイの除去(脱臭)
- 原料のカスなどを除去
- よくない成分の除去
- 色素成分の除去(脱色)
- 溶剤の除去(溶剤抽出法を使った場合)
- ウイルス・雑菌
天然成分は、独特の強いニオイや色が残っています。天然であるがゆえ、ですね。
スキンケア用品などに使うときにニオイや色が気になると気持ちよく使えないため、除去することが多いんですね。
また、天然成分はそのままだと刺激が強かったり、毒性をもつ場合があります。「肌や体に良い成分」が入っている反面「よくない成分」も入っています。
そのため、有効な成分だけを抽出して安全な状態にすることが大事なんですね。
化学処理で精製すると、
天然成分⇒天然由来成分になる!
天然成分は植物だけではありません。動物からとれる「天然成分」もあります。「プラセンタ」「スクワレン」「馬油」などです。
- プラセンタ:胎盤(たいばん)のこと。
- スクワレン:深海鮫の肝油からとれる成分。
- 馬油:馬の皮下脂肪からとれる油脂。
スキンケア用品に使われるプラセンタは馬や豚の胎盤が多いです。胎盤は赤ちゃんに栄養を送る役割があるため、栄養が豊富なんですね。抗酸化作用や美肌効果が期待されています。
馬油は人間の皮脂に近くしっとり保湿、スクワレンは新陳代謝の活性化や美肌効果が期待されています。
動物から抽出される成分は独特なニオイや雑菌があります。しっかり脱臭・殺菌しないと安心して使えないので、精製は大事です。
生き物特有のニオイが残ってたら嫌だよね。
3.加工した天然成分
天然成分に添加物などの加工をくわえたものは「天然由来」になります。添加物とは、たとえば下記があります。
- 着色料
- 保存料
- 防腐剤
- 香料
- ビタミン・ミネラルなどの栄養素
スキンケア用品に成分を配合するとき良い香りをつけたり、長いあいだ保存できるよう保存料や防腐剤をくわえることがあります。
保存料や防腐剤が入っている、と聞くと「なんか危なそう」と思ってしまいますが、天然成分そのままだと腐りやすかったり、すぐに品質が劣化してしまうことも多いです。つまり、長期間安全に使えるように入れているんですね。
また、天然成分を抽出するときや精製するときにもともとあった栄養素が減ることもあるので、必要に応じてビタミンやミネラルなどを追加する場合もあります。
化粧品は一般的に3年間、品質を保証しなければいけないので「天然成分だけ」というのは難しいんですね。
何らかの添加物が入っていることがほとんどだよ。
4.天然成分を原料にしてつくった合成成分
植物などの「天然成分」を原料にして「合成成分(自然界に存在しない成分)」をつくった場合「天然由来成分」となります。
合成成分とは「自然界に存在しない成分」のことです。つまり「=人工的につくられた成分」です。
スキンケア用品などに使われている「自然界に存在しない成分」は「石油」からつくられることが多いですが、植物を原料にしてつくることも可能なんです。
石油を原料にした合成成分は「石油系」、植物を原料にした合成成分は「天然系」「天然由来」「植物由来」と呼んだりするよ。
シャンプーや化粧水などで「天然由来」「植物由来」と書かれていることがあります。この場合、下記が考えられるということですね。
- 化学処理で抽出・精製した天然成分を使用している。
- 添加物などをくわえて加工した天然成分を使用している。
- 天然成分を原料にしてつくった合成成分を使用している。
最近は「オーガニック」「ナチュラル」「自然派」などが人気なので「石油原料の合成成分」の変わりに「植物原料の合成成分」を使うメーカーも多いです。
「植物由来」「天然由来」って書かれてると、なんだか安心感があるもんね。
「石油」ってコトバは、イメージが良くないんだよね・・・。
自然由来・天然由来・植物由来の違いは?
「天然由来」と似たイメージのコトバで「自然由来」「植物由来」があります。
スキンケア用品やシャンプーでも「天然由来」「自然由来」「植物由来」と表記がバラバラなので「違いは何なのか?」「同じ意味なのか?」気になりますよね。
結論からいうと「自然由来」は「天然由来」と同じ意味だと思ってOKです。
「植物由来」は植物だけなので、天然由来と同じとはいえません。植物由来は下記のような意味になりますね。
- 化学処理で植物から抽出した天然成分
- 植物から抽出した天然成分を化学処理で精製したもの
- 植物から抽出した天然成分を加工したもの
- 植物から抽出した天然成分を原料にしてつくった合成成分
天然由来は植物だけではなく動物・鉱物などもふくまれますが、植物由来は植物に限定される感じですね。
まとめ
今回は「天然由来成分とは?」「天然成分と天然由来成分の違い」「植物由来と自然由来は天然由来と同じ意味なのか?」などについてご紹介しました。
- 天然成分:自然界に存在する成分で、化学処理をしていないもの。
- 天然由来成分:天然成分に何らかの化学処理をくわえたもの。
- 自然由来:天然由来と同じ意味。
- 植物由来:天然成分(植物のみ)に何らかの化学処理をくわえたもの。
天然由来成分と天然成分は、同じようでまったく違う意味を持つのですね。
ここで「じゃあ天然成分と天然由来成分、どちらが良いの?」と気になるかと思いますが、単純に「コチラが良い」と言い切ることはできません。
天然成分や天然由来成分にも危険はあるので、天然だから、自然だからと「絶対安心」と思い込まないことが大切です。