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【食物繊維の働き】1日の摂取量は?不足したらどうなる?【男女20~50代】

食物繊維の働きとは?1日の摂取量は?

  • 食物繊維の働きとは?
  • 食物繊維が不足すると起こる症状は?
  • 食物繊維の1日の摂取量(目標量)は?
  • 現代人は食物繊維がどれくらい足りていないの?
  • 食物繊維をとりすぎるとどうなる?

食物繊維は生活習慣病の予防に役立ったり、便通をうながしてくれたり、体内の余分な栄養素を出してくれたりと嬉しい作用がたくさんあります。

食物繊維が不足すると、便秘になる可能性や生活習慣病になるリスクが上がるという研究結果も出ています。食物繊維を摂取したからといって100%生活習慣病が防げるワケではもちろんないですが、少しでもリスクを減らせれば嬉しいですよね。

食物繊維は女性も男性も不足ぎみなので、できるだけ摂取していくようにしましょう。それではさっそく、食物繊維の働きや1日の摂取量などを見ていきましょう。

食物繊維とは?

食物繊維とは「炭水化物」の一種です。「炭水化物」とは「エネルギー源」です。カンタンにいうと私たちが身体を元気に動かすのに必要な栄養素です。車でいう「燃料(ガソリン)」のようなものですね。私たちはエネルギー源がないと、動くことはできません。

炭水化物の内訳

炭水化物は「糖質」「食物繊維」に分けられます。「糖質」は体内に吸収されて「エネルギー源」となりますが「食物繊維」は体内に吸収されずエネルギーにはなりません。その代わり、体内で別の素晴らしい働きをしてくれるのが食物繊維です。

食物繊維には「不溶性食物繊維(ふようせいしょくもつせんい)」と「水溶性食物繊維(すいようせいしょくもつせんい)」があり、それぞれ特徴があります。

不溶性食物繊維とは?

「不溶性食物繊維」は「水に溶けにくい」食物繊維です。水分を含むと数倍にふくらんで腸内を刺激します。特徴は下記です。

  • 水に溶けにくく保水性が高い
  • 糸のように細長くザラザラしている
  • 便のカサを増やす
  • 腸内を刺激して便通をうながす

不溶性食物繊維はとりすぎると便が硬くなる場合もあるので、1日の推奨量を目安に摂取しましょう。不溶性食物繊維が多く含まれている食べ物は「きのこ」「豆類」「野菜」「穀類」などです。

水溶性食物繊維とは?

「水溶性食物繊維」は「水に溶けやすい」食物繊維です。水に溶けるとネバネバしてゼリーのようになります。特徴は下記です。

  • 水に溶けやすくネバネバしている
  • サラサラしているタイプもある
  • 便をやわらかくして出しやすくする
  • 栄養素の吸収をゆるやかにして血糖値の急上昇をおさえる
  • 余分な栄養素(糖や脂質など)を包みこんで体外に出す
  • 善玉菌のエサになるため善玉菌が増える

水溶性食物繊維は水に溶けてネバネバとゼリーのようになるため、胃や腸のなかをゆっくり移動します。体内での食べ物の移動速度が落ちるため、急激な血糖値の上昇をおさえられるんですね。また、水溶性食物繊維は善玉菌のエサになるので、腸内環境をととのえるのに役立ちます。

水溶性食物繊維が多く含まれている食べ物は「納豆」「こんにゃく」「海藻類」「野菜」「いも類」などです。

食物繊維の働き

「食物繊維」は「水溶性」「不溶性」があり、それぞれの作用は上で説明したとおりですが・・・まとめると、おもな働きは下記になります。

  • 生活習慣病の予防に役立つ
  • 便通をうながす
  • 余分な栄養素を体内から出す

食物繊維は体内に吸収されることはありません。体内を通過するときに、さまざまな働きをしてくれます。生活習慣病といわれても色々ありますが、食物繊維はそれだけ幅広い働きが期待できるということです。

生活習慣病の予防

食物繊維は「生活習慣病の予防に役立つ」という研究結果が多く存在します。食物繊維を積極的に摂取した場合「コレステロール」「空腹時血糖」などの数値が改善したという報告もあります。

生活習慣病とは?

「生活習慣病」とは名前のとおり「生活習慣(食事・運動・休養・喫煙・飲酒など)」によって引き起こされたり進行したりする病気のことです。つまり「栄養バランスのくずれた食事」「運動不足」「睡眠不足」「たばこの吸いすぎ」「お酒の飲みすぎ」などが引き金になるということですね。

生活習慣病には下記のようなものがあります。

  • 肥満
  • 高血糖
  • 高脂血
  • 高血圧
  • 糖尿病
  • 虚血性心疾患(心筋梗塞・狭心症)
  • 脳卒中(脳出血・脳梗塞)

※出典:厚生労働省のメタボ政策について

食物繊維を1日20gほど摂取していた場合、ほとんど摂取していなかった場合にくらべて「心筋梗塞の発症率が15%ほど低かった」という研究報告もあるくらいです。食物繊維を摂取したほうが「メタボなどの発症が低い」という研究結果もあり「食物繊維をしっかり摂取する=生活習慣病の予防に役立つ」といわれているんですね。

食物繊維が数多くの生活習慣病の発症予防に寄与し得ることは前述のとおりであるため、食物繊維の積極的な摂取がそれらの疾患の重症化予防においても重要であろうと考えられる。例えば、食物繊維が各種疾患及びその生体指標に及ぼす効果を検証した介入試験をまとめたメタ・アナリシスでは、体重、血中総コレステロール、LDL コレステロール、トリグリセライド、収縮期血圧、空腹時血糖で有意な改善が認められている 38)。

出典:日本人の食事摂取基準(2020年版)

食物繊維摂取量は、数多くの生活習慣病の発症率又は死亡率との関連が検討されており、メタ・アナリシスによって数多くの疾患と有意な負の関連が報告されている稀な栄養素である。代表的なものとして、総死亡率 7)、心筋梗塞の発症及び死亡 8)、脳卒中の発症 9,10)、循環器疾患の発症及び死亡 8,11,12)、2型糖尿病の発症 13,14)、乳がんの発症 15,16)、胃がんの発症 17)、大腸がんの発症 18,19)などがある。例えば、食物繊維をほとんど摂取しない場合に比べて、20 g/日程度摂取していた群では心筋梗塞の発症率が 15% ほど低かった 8)と報告されている。また、メタボリックシンドロームの発症率との関連を検討したメタ・アナリシスも存在する 20,21)。これらの報告は、総合的には食物繊維摂取量が多いほどこれらの発症率や死亡率が低くなる傾向を認めている。

出典:日本人の食事摂取基準(2020年版)

食物繊維の種類は多く、その種類による生理作用は、大腸がんの予防、便秘の解消や便秘による大腸憩室の予防、毒性吸収阻止、耐糖能の改善、食事性血糖上昇抑制、血清コレステロールの是正、腸内細菌による発酵等、多様である。

出典:特定保健指導の実践定期指導実施者育成プログラム

もちろん食物繊維を摂取したからといって「絶対100%生活習慣病を予防できる!」というワケではありません。運動不足や睡眠不足、その他いろいろな要因が関わってくるからです。「発症する可能性が低くなるんだな」という認識でいましょう。

便通をうながす

食物繊維は便通をうながす働きがあります。水溶性食物繊維は便をやわらかくして出しやすくしてくれ、不溶性食物繊維は腸内を刺激してくれます。「便秘と食物繊維は関係ないのでは?」という研究報告もあるようですが、一般的には「食物繊維=便通をうながす効果が期待できる」ことで知られています。

食物繊維摂取量が排便習慣(健康障害としては便秘症)に影響を与える可能性が示唆されている 24)。食物繊維摂取量と便秘症罹患率との関連を横断的並びに縦断的に検討した疫学研究では、便秘症の罹患率、発症率及び排便頻度と食物繊維摂取量との間に負の関連を認めたとする報告がある 25)。その一方で、両者の間に関連を認めなかった研究も存在する 26)。

出典:日本人の食事摂取基準(2020年版)

余分な栄養素を体内から出す

食物繊維は余分な栄養素とくっついて体外に出す働きがあります。余分な栄養素とは、たとえば「脂質」「糖」「ナトリウム」などです。「脂質」「糖」「ナトリウム」はすべて私たちの身体に必要な栄養素ですが、とりすぎると糖尿病や肥満や高血圧などの「生活習慣病」を引き起こすリスクもあります。

食物繊維はとりすぎた「脂質」「糖」「ナトリウム」などにくっついて体外に出ていくので、生活習慣病の予防に役立つといわれているんですね。脂質や糖がたっぷり入ったスイーツが好きだったり、塩辛いものが好きだったりする方は、食物繊維も積極的に摂取していきたいですね。

食物繊維は、消化・吸収されずに消化管を通過することでさまざまな機能を発揮する。機能としては、水を吸着して体積を多くし、栄養素や栄養成分等の吸着作用があり、水に溶けると粘性がでることである。

出典:特定保健指導の実践定期指導実施者育成プログラム

食物繊維が不足すると起こる症状

食物繊維が不足すると、どうなるのでしょうか?起こりうる症状を見ていきましょう。

  • 便秘になりやすい
  • 生活習慣病のリスクが高くなる

食物繊維の働きをみれば分かるとおり・・・不足すると逆に「便秘」「生活習慣病」のリスクが上がるといえますね。

食物繊維の1日の目標量は?いくら摂取すれば良い?

食物繊維は1日にどれくらい摂取するのが良いのでしょうか?厚生労働省が推奨する「食物繊維の1日の目標量」を男女別に見ていきましょう。

食物繊維の目標量【女性20代~50代】

年齢 【食物繊維】目標量
(g/日)
20代女性 18.0
30代女性 18.0
40代女性 18.0
50代女性 18.0

※「日本人の食事摂取基準(2020年版)」を参考に作成

食物繊維の目標量【男性20代~50代】

年齢 【食物繊維】目標量
(g/日)
20代男性 21.0
30代男性 21.0
40代男性 21.0
50代男性 21.0

※「日本人の食事摂取基準(2020年版)」を参考に作成

食物繊維の目標量は少し少なめに設定されています。理想的な目標量は、成人だと「1日24g以上」です。あまり高めに設定しても実現が難しいとのことで、実行できそうな数値を出しているんですね。なので、できるだけ目標量には届くよう摂取したいですね。

食物繊維の理想的な目標量は成人では 24g/日以上と考えられるが、現在の日本人の摂取実態を鑑み、その実行可能性を考慮して、これよりも低く設定した点に留意すべきである。

出典:日本人の食事摂取基準(2020年版)

食物繊維はどれくらい摂取できているのか?

私たちがふだんの食事でどれくらい食物繊維を摂取できているのか?平均値を見てみましょう。

食物繊維摂取量の平均【女性20代~50代】

年齢 【食物繊維】摂取量
(g/日)
20代女性 14.6
30代女性 15.9
40代女性 16.0
50代女性 16.8

※「令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要」を参考に作成

食物繊維摂取量の平均【男性20代~50代】

年齢 【食物繊維】摂取量
(g/日)
20代男性 17.5
30代男性 18.3
40代男性 18.3
50代男性 19.4

※「日本人の食事摂取基準(2020年版)」を参考に作成

サラッと数値をみてみると、すべての年代で目標量に達していないのが分かります。

食物繊維は推奨量と比べてどれくらい足りていないのか?

食物繊維の摂取量はどれくらい足りていないのでしょうか?「摂取量(摂取できている量)」と「目標量(これくらい摂取したほうがいいよ、という量)」を比べました。わかりやすいように棒グラフで見ていきましょう。

食物繊維「摂取量」と「目標量」の比較【女性20代~50代】

※「日本人の食事摂取基準(2020年版)」「令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要」を参考に作成

20代~50代女性の「食物繊維不足」をパーセントで表すと下記のようになりました。

  • 20代女性:19%食物繊維不足推奨量の81%しか摂取できていない)
  • 30代女性:12%食物繊維不足推奨量の88%しか摂取できていない)
  • 40代女性12%食物繊維不足(推奨量の88%しか摂取できていない)
  • 50代女性:7.0%食物繊維不足推奨量の93%しか摂取できていない)

数値でみると「20代女性」がとくに「食物繊維不足(19%不足)」となっています。推奨量の81%しか食物繊維を摂取できていません。

食物繊維「摂取量」と「目標量」の比較【男性20代~50代】

※「日本人の食事摂取基準(2020年版)」「令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要」を参考に作成

20代~50代男性の「食物繊維不足」をパーセントで表すと下記のようになりました。

  • 20代男性:17%食物繊維不足推奨量の83%しか摂取できていない)
  • 30代男性:13%食物繊維不足推奨量の87%しか摂取できていない)
  • 40代男性13%食物繊維不足(推奨量の87%しか摂取できていない)
  • 50代男性:8.0%食物繊維不足推奨量の92%しか摂取できていない)

数値でみると「20代男性」がとくに「食物繊維不足(17%不足)」となっています。推奨量の83%しか食物繊維を摂取できていません。

男性・女性ともに20代がいちばん食物繊維の摂取が足りていないという結果に。「一人暮らし」「仕事が忙しい」などの理由で食事バランスが乱れてしまうのが大きいですね。

食物繊維不足の解消法は?

「食物繊維不足」の解消法は「食物繊維を多く含む食品」を食べることです。「食物繊維を多く含む食品」は、たとえば下記があります。

  • こんにゃく
  • きくらげ
  • 寒天
  • 干しひじき
  • 干しわらび
  • とうがらし
  • 干ししいたけ
  • 干しまいたけ
  • 刻み昆布
  • 抹茶
  • 焼きのり
  • にんじん
  • ほうれん草
  • 青汁(ケール)

食物繊維は野菜や豆類、いも類、海藻類、果物などいろいろな食べ物に含まれています。肉や魚にはあまり含まれていないので、肉ばかり食べている人は食物繊維もとるようにしましょう。

食物繊維の上限量は?とりすぎるとどうなる?

食物繊維の上限量はとくに決められていません。気をつけるべき点をあげるとすれば「便秘ぎみの人」です。食物繊維のなかでも「不溶性食物繊維」をとりすぎた場合は、便秘が悪化する可能性もあるので注意しましょう。

「食物繊維は便通をうながす働きがあるのに、なぜ?」と思いますよね。たしかに、食物繊維は便通をうながす働きがあります。「水溶性食物繊維は便をやわらかくして出しやすくする」「不溶性食物繊維は便のカサを増やし腸を刺激する」ということでしたよね。

便秘の人は「便を体外に出すための腸の働き(=ぜん動運動)」が弱まっています。そんななかで「不溶性食物繊維」をとりすぎると、便のカサが多くなりすぎて腸内をスムーズに進めなくなります。腸内に便が長くとどまると、腸に水分が吸収されて余計に硬くなってしまうんです。

そのため、便秘がひどい人は「不溶性食物繊維」をとりすぎないように注意して「水溶性食物繊維」もしっかりとるようにしましょう。

まとめ

今回は食物繊維について「働き」「不足したときの症状」「1日の摂取量(目標量)」などについてご紹介しました。「食物繊維をとろう!」という声をよく聞きますが・・・「生活習慣病」「便秘」の予防に役立つんですね。

生活習慣病になる可能性を少しでも減らせるならどんどんとっていきたいですよね。とはいえ、食物繊維をとっているからといって生活習慣病にならないワケではないので、睡眠や運動など健康的な生活を心がけたいですね。食物繊維だけではなく、栄養バランスのとれた食事も大切です。